物価が上がってきて、食品の価格もどんどん高くなっています。
その中でよく目にするのが「量を減らして値段を据え置く」という戦略。
このやり方、果たして本当に得策なんだろうか?
今回は、価格の変化に対する消費者の反応や、企業が抱える課題について考えてみみました。
- 価格を上げない企業努力の裏側
- 価格を上げる勇気の必要性
- 低所得層をターゲットにするマーケティングの是非
- 量に対する価格への顧客の満足度
- 経済的疲弊をもたらす戦略
価格を上げない企業努力の裏側
まず、なんで企業が価格を上げずに量を減らす戦略を取るのかっていうと、消費者の心理に関係している。
食品は生活必需品。価格が上がると家計に響くのがわかりやすいし、生活に直接影響が出やすい。
だから、企業はなんとか価格を据え置いて、消費者に支持されようとする。
でもそれって、企業側が損してない……?
消費者心理と企業戦略
消費者はやっぱり、価格が上がるのを嫌がる傾向がある。
企業はこの心理を理解しており、世間は値上げの雰囲気でも値段を変えないことで、消費者の支持を増やす狙いもある。
物価が上がっても価格を据え置くために、もっとも簡単な方法がコストダウン。
中でも手っ取り早いのが、量を減らすって選択肢でしょう。
でも量が減ると、以前から買っていたファン(消費者)は、損した気分になるのは当然のこと。
それが口コミで悪評として伝わることで、長い目で見れば、顧客を失うリスクも大きいのではないでしょうか。
価格を上げる勇気の必要性
企業が価格を上げるのは確かにリスクがあるんだけど、リスクをずっと避け続けるのも良くない。
なぜそんなに値上げを恐れるのだろうか━━。
価格上昇による顧客の理解
実は、価格を上げるときに、多くの消費者は理解を示している。
資源を輸入に頼りがちな日本は、近年の円安進行もあって、原材料費や物流コストが上がっていることは、誰もが知る事実かと思う。
企業の値上げ理由も「物価高騰のため」と説明しているから、報じられているニュースと違いがないし、理由に納得している人がけっこう多い。
だから企業は、「価格を上げる勇気」を持つことも大切。
相応の理由を説明したうえでの値上げなら、ファンは支持するし、それでも離れる人は割り切ったほうがいい。
ブランド価値の維持
適切な価格設定は、ブランドの価値を守る上でも重要です。
量を減らして価格を据え置くと、短期的には顧客を引き留められるかもしれないけど、長期的には信頼が失われる要因がある。
コスト増で価格を据え置くってことは、生産側は利益を削って作らないといけない。
だから従業員の給料は上がらないし、物価高に対応できない所得になりかねないから、モチベーションも下がる。
モチベが下がれば仕事も雑になるし、設備投資ができないと衛生環境が悪くなったりと、不祥事的な問題も表面化しやすくなる。
ブランドの価値は値段よりも商品の質を見ている。
良い価格は相応の価値を貰うだけの理由があるわけで、ブランドの価値を安売りしてしまっては、逆に評価を落としかねない。
企業は一度立ち止まって、顧客が本当に必要なものを確認することも重要かと。
低所得層をターゲットにするマーケティングの是非
食品業界では、低所得層を狙ったマーケティングがよくあるけど、この戦略が本当に最適かどうかは疑問。
このことについてちょっと考えてみましょう。
低価格戦略の限界
低価格を維持すると、やっぱり限界はある。
低所得層をターゲットにするなら、薄利多売が常套手段。
短期的な売上は上がるかもしれない。けれど、長期的には企業の利益が圧迫されることが多い。
ひたすらコスト減を強いられるわけだし、時間あたりに製造する量も増える一方だから、従業員も疲れてします。
それで品質が下がれば顧客の不満にもつながる。
ゆくゆくはブランドイメージも損なわれる可能性もあるわけです。
高所得層のニーズを満たす価値
逆に、高所得層を狙うことで、もっと高い利益を狙える場合もある。
彼らは品質や体験にお金を払うことに抵抗がないから、企業が適切な価格を設定すれば、ブランド価値を高めることができる。
だから、低所得層だけをターゲットにする戦略は、再考の余地があります。
パッケージにちょっと高級感のあるコピーを入れるだけで、高所得層に届けられる可能性もあるんですよ。
量に対する価格への顧客の満足度
量を減らして価格を据え置く戦略━━。
これって顧客の満足度にどう影響するのだろう?
実質的な価値の低下
消費者は量に対する価格に敏感。
量が減ると「なんか損した気分になる」と感じるのは誰だって同じ。
この姿勢を貫くと、原材料が値上げするたびに量が減っていくことになる。
それはSNSが無かった時ならバレなかったかもしれない……。
でも現在は、誰かが気づいてSNSに投稿すれば、あっという間にネットニュースになって広まる可能性が高い。
某5つ入りミニパンが4個に減って大騒ぎした過去もあるし、価格を据え置くことはブランドへの信頼が失われていく要因になりかねません。
顧客がどれだけ量に対して価値を感じていたのか、ここを再評価する必要あると思います。
量をそのままで価格を上げる選択肢
顧客の中には、「量そのままで価格を上げてくれた方がマシ」って意見があることも事実。
これは、顧客が購買行動に対して誠実でありたいと考えているから。
量が減ることでもやっとする心理的負担を避けて、量はそのままで価格が上がるほうが、世論の流れも手伝ってくれて、納得できる顧客のほうが多いと思うのです。
経済的疲弊をもたらす戦略
量を減らして価格を据え置く手法━━。
これは経済的に、疲弊を招く可能性があります。
顧客の購買力低下
物価が上がり続ける中で、消費者は生活費を削減せざるを得ない状況に直面している。
そんな中、量が減った商品を据え置き価格で買うことは、マイナス要素しかない。
以前買っていた量より減っている事実に気づくと、元々の量が「ちょうどいい」と感じていた人は、減量後を買うたびに損した気分になってしまう。
結果的に、顧客は他のブランドや製品に移行する可能性が高まります。
業界全体への影響
こういう戦略が広がると、顧客の期待が下がって、消費行動が変わる。
結果として、全体的な売上が減少し、企業の利益も圧迫されることが懸念されます。
業界の持続可能性を考えると、量を減らす戦略だけじゃなくて、顧客が必要としている量を見極めることも大事だと思います。
まとめ
量を減らす戦略は、企業が価格を据え置くための一つの手法だけど、それが本当に得策かどうかはやっぱり疑問。
顧客の満足度を低下させるリスクや、長期的なブランド価値の損失を考えると、企業は価格を上げる勇気を持つべきだと思う。
また、低所得層だけをターゲットにする戦略が最適ではないことも考えられる。
顧客が納得できる形での価格設定が、持続可能なビジネスを実現するための鍵になりそうですね。
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