CES2020がスタートして、デジタルデバイス・ガジェット界がいつになく騒がしい。5Gもありスマホ部門が騒がしいかと思いきや、ソニーが車作ったりと、モビリティ分野が盛り上がっている傾向。
その中でも異彩だったのが、トヨタの発表した「未来都市建設」。現状で考えうる最大限のIoT都市が静岡県に誕生する。
富士山の麓に世界最先端の都市が産まれる
今回の話を要約すれば、”土地の有効活用”というほかありません。
トヨタの東富士工場は2020年12月に閉鎖予定で、この跡地に未来都市を建造する計画。約71万平方メートルの土地に、自動走行車はもちろん、住居もICTとAIで管理と保全をし、現状で考えうるIoT都市のあるべき姿を実現させます。

国内や世界でも、小規模な実証実験はありましたが、都市ごとゼロから造るのはおそらく世界初。
未来都市を実現するにはこれしかない理由
先の記事を見て「夢物語」と思う人は少なからずいるでしょう。でもこれは現在ある技術で出来ることなんです。
なぜ実現出来なかったのかは簡単な話。それは、地域ごと作り変えるのが難しかったから。
自動運転で難しいのは、最適化された規格道路が無い所にあります。飛行機、船舶、電車は既に自動運転が実現していますけど、移動する空間に人などイレギュラーが存在しにくいからですね。
IoTマンションも下町にいきなりドンと建っても、周りがそれに対応しきれないから、利便性はそれほど上がりません。買い物するには歩いていく必要があるし、宅配だって”ここに入れば自動”の仕組みがあっても、社会全体が対応しないと不都合が生じてしまうでしょう?
だから、最初からそれしか出来ない、それに最適化した地域を造るのが、もっとも簡単な方法です。しかしもっとも難しい方法でもある。
日本には既に溢れんばかりの住居があり、土地もカツカツで、未来都市を新しく造る土地がそもそもありませんでした。たとえ1都市をその対象にしたとしても、既に居住している人たちをどうするかって話になる。限界集落ならチャンスがあったけど、そこから他へのアクセスが困難になる難点があります。
東富士工場は近くに東名裾野ICがあり、JR御殿場線だって近くにある。センチュリーを製造していた工場だから、流通の基盤が出来上がっているし、従事した人たちが住んでいた実績もある。
自動車工場は大きく広いこともあり、1つの町を造るに十分な広さ。今の時代、日本にこれだけの空き地が産まれることが稀であり、それをチャンスと捉えたトヨタの慧眼は凄いとしか言いようがありません。
まあ日本一であり、世界のトヨタだからこそ、実現可能な構想ともいえます。
もしこれが行政主導なら、土地の買収は進んでも、議論と反対運動で全く進まないまま、他に遅れを取っていたでしょうね。
東京ドームおよそ16個分だって?ギッチギチに詰めれば100万人入るやん!
この都市構想は初期段階で、トヨタの社員約2000名が居住する予定。いずれ一般にも開放されるでしょうけど、上級国民から入っていきそうなイメージはあります。
東京ドームライブは5万5千人のキャパがあり、それが16個分の広さであるなら、100万人が並べる潜在能力があることになります。戸建てを並べたら2000人でギチギチになりそうですけど、高層メインにすれば、数万人規模の都市になる可能性もあります。
おそらく世界からテクノロジーを体験したい人々が移住してくる可能性もあります。国内ではリモートメインの人にとって住みやすい環境にはなりそう。
でも東京に近いようでアクセスが悪いから、著名人が住むには別荘の位置になりそうですね。てことはマンション投資が捗るな……。
ベーシックインカムの実験都市になりそう
初期段階のテストは、IoT都市がいかに便利であるか、自ら動く必要性がないかを実験する段階。次は未来都市らしい暮らし方に考えがシフトするのではないかと。
そもそも雇用を生み出す都市ではありません。いかに簡単で便利に暮らすかが、IoTとAIで管理された都市の特色であります。
そのため”ここに住み続ける”ための施策として、ベーシックインカムが浮上してくると思います。便利に暮らせるからこそ、ゆとりある生活を支えるため、長期休暇を過ごす町になるか、働かずともある程度暮らせる町になるかじゃないかな。
後者に関しては、金がありすぎる資産家は「それでもいんじゃね?」の考えがあるし、それが慈善活動・福祉活動に繋がるなら、資金を有効活用できる道を示すことが出来ます。
実現するのがいつかは分かりませんが、自分が住む県に最先端の都市が産まれるのは楽しみであります。
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