「料理が苦痛だ」を読んで

料理は作ることがツライのではなく、毎日毎日作ることが苦痛だ──って話。料理を作る身としてはわかりみが深い。

どんな人が求めている本なのか

「毎日なんで私が料理を作らないといけないの?」という疑問を抱いた時、これを読むと救世される言葉があるかもしれない。私としては、料理をしない人にこそ読んでもらいたい本だと思う

なぜならば、料理をする人にとって、ここにある悩みはほぼ共通しているから。

でも料理をしない人にとって、それの何が苦痛なのかが理解できない。齟齬を埋めるため、いかに毎日続けて料理を作ることが面倒なのか、その心の内部を理解するために、こういう本を読む必要はあると思う。

料理ってね、考えることが多いし、10分程度でも時間は料理に消費されるんですよ。

なぜ私が料理を作らなければならないのか

男は外に出て仕事。女は家で家事。それが常識だったのは10年くらい前までのこと。今は自動の家具も増えているし、食事もレンジアップで済む冷凍の種類も増えて味も向上、惣菜はどこのスーパーでも扱っているし、なんなら宅配サービスだってある。

現在は家事に割く時間は減少傾向にあります。もちろん”その意思があれば”の話。

前時代の家庭の姿に憧れ──というか、それが当然と疑わない人も居る。それは自分が知る家庭の姿だからでしょう。だから家に帰ると手料理が待っていることに、あこがれというか幻想を抱く者も少なくない。そうだね、食べる側は楽だもんね。

で、家事で特に時間を占めるのが料理。メニューを考え、栄養バランスを考え、同じ調理が続かないように考え──。考えに考え抜いて作られるのが、毎日の家庭料理です。

「今日何食べたい?」に隠された意図

料理が好きな人は多いと思います。でも本音は”見返りがあってこその好き”である人が大半ではないかと。「おいしい」の一言や、「盛り付けばキレイ」の一言など、いいねと褒められることで好きになったパターンが多いでしょう。

著者のいう「料理が苦痛」になるポイントは、想定した感謝が薄れていく所にある。

「今日は何食べたい?」「なんでもいいよ」はよくある会話。でも”なんでもいいはずなのに”、作った物に「違うんだよなぁ」と棘を置いていくのが、亀裂が生じる第一歩。なんでもいいの裏側には、一体どんな考えがあったのだろう。「俺の好きな物くらい言わなくてもわかるだろ」という想いが潜んでいそうである。

料理の出来にこだわるのは、普段料理をしない人に多いと思う。味よりも見た目に拘るタイプもいるし、味よりも量を求めるタイプもいる。

1人ならそれを考える必要もない。安い具材を買って、有る時間で出来る料理をすればいいだけ。……でも、他人に作る料理となれば、話が違ってくる。飲食店ではホスピタリティといい、想像を働かせて、客が望む物を提供する心がある。これはサービス業全般にいえること。でもそれは料金が発生するプロ思考だからもある。

家族内の話なら、むしろ直接聞けばいいだけの話。でも料理をしない人ほど、自分が何を食べたいか、そして自分の家で何が作れるかを把握していない。だから夫婦間で料理を起点とした軋轢が産まれやすいと感じる。

家庭料理なんて雑でいいんですよ

別に毎日3食食べなくてもなんとか生きることはできる。家庭料理で毎日のように、映える料理を作る必要はないし、手間はなるべく減らしていきたいのが心情ってもの。

私の場合を話すと──

ご飯はあらかじめ炊いておいてストック。朝は野菜適当に選んで切って味噌汁にして、卵焼いて終わり。昼は弁当買うかどこかで食べる。家に居るなら、煮込み料理(煮物とか野菜鍋とかカレー)を作りながら昼食を済ますほう。夜はパスタを10分レンジアップしている間に、野菜切って絡めて終了。

なんだかんだで、どれも30分あれば調理に片付けは終わります。まあ自分で作り、自分で食べるからこそ、好みの冒険をせず、効率を優先してしまう傾向があります。

料理をしない人にある最大の問題は、料理にどれだけの時間を割く必要があるか理解してない所です。

上記の例でも、具材を増やしてフライパンを大きくすれば、5人前を一気に作ることはできます。ただし、カットしたり火を通す時間はどうしても増えます。5人家族なら、ある時間に5品目だそうとすると、決め打ちしても1時間は必要でしょうね。

コンロが3口あっても効率は大して変わりません。3種全部で煮込み料理をするなら別です。むしろ作り置きが出来る分、煮込みレシピは積極的に取り入れるべきではないかと。味噌汁なんて、ダシ入の安い合わせでいいんですよ。水から野菜を煮て、味噌を入れてハイおしまいできるし。

時短レシピ──というか、なるべく手間をかけない料理のレシピ本なら、「頑張らない電子レンジのおかず」みたいな、電子レンジだけで作るレシピ本がおすすめです。

「なんでいちいち野菜を煮ていたんだろう……」って悔やむかもしれません。

お互いのやってほしい事を言語化しよう

円満に進む秘訣はテレパシーが出来ることではなく、決まりごとをお互いが意識しているか、業務の流れのように、「この時はこれ」を意識しているからではないかと考えます。

料理も毎日作ると飽きるから、たまには手抜きしたい。そんな時は外食とか、手を出さないジャンルの弁当を買うとか、変化を取り入れるといいです。新しい料理は想像力が働きますしね。どんな料理も基本は同じですから。

「料理は苦痛だ」に調理に関するノウハウはほぼありません。これまで並べた精神論が多く、「そんなに肩はらなくてもいいんじゃない?」が伝えたいことでしょう。

普段の家庭料理と、迎えるための料理で、頭を切り替えるのがコツみたいな感じに書かれていますね。おもてなしする場合はいつもよりごちそうが出ると認識する夫は、パブロフの犬というか、世の大半いる料理が出来ない夫は、こんな具合に爆弾を設置していくんだろうなぁと……。

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