ICT総研が「2019年度 モバイルキャッシュレス決済の市場動向調査」を発表しました。
QRコード決済元年の2018年より、2019年は利用額はおよそ3倍。2020年は主流だった電子マネー決済に追いつく見越しで、そこで動く金額は3兆円にもなるとの予測。○兆円は莫大な金額に感じるけど、これを利用して運営する企業はどう生き残るのだろう。
3兆円の市場を何社で奪い合うのか
まずこちらにチラッと目を通していただきたい。

これは、2020年に電子決済(キャッシュレス)の利用額が3兆円になる──の”試算”についてのまとめです。
電子マネー決済のサービス会社は、手数料で収益を得るカタチです。だから、ユーザーの利用した3兆円から手数料の○%をいただくわけで、となれば……いかに自社サービスで使わせるかが、儲けに直結するわけです。
決済サービス内訳のグラフを見ると、QRコード決済の伸びがすさまじく、元年といわれた2018年に比べると、現在の2019年は3倍近く利用者が増えたことになります。QR決済は店舗側が導入しやすく加盟店が増えているのと、還元キャンペーンが話題になり、ユーザーが増えた背景もあるでしょうね。
QR決済サービスの利用者ランキングは──
- 「1位:LINE Pay(40.4%)」
- 「2位:PayPay(40.3%)」
- 「3位:楽天ペイ(31.7%)」
のみつどもえ。まだまだ○ペイのサービスは増え続けているわけですが、地域独自のQR決済はどう生き残るんだろう……。
電子マネーは決済者の購入データ集めに優秀とされている
コレを目当てに導入を決めている店も多そう。でもちょっと考えて欲しい。
自社の利用客データだけ集めて何に使うの?
もしそれを活用するなら、店に訪れる個人の趣味嗜好がわかるようになるし、クリティカルなDMを送ることができるメリットはある。けれど、自社を抜け出すマーケティングに使えるかと問われれば、その価値は薄い。
売上管理はレジのPOSシステムが優秀で、これはグループ全体で管理ができるから、集まるデータも多くなり、精査することで実用なデータが手に入りやすい。しかし小規模の個人店でそれを重視するのは、QR決済の営業にいいこと騙されてない? と感じます。
これはブログのアクセス解析でも実感します。
自分の店を冷静に分析したところで誰がカイゼンできるのか?
魚釣りを主題にしたブログの解析を眺めても、趣味嗜好は釣り・アウトドアが自然と集まるだけです。そこから購買意欲を探ろうとすれば、自身がピックアップした商品だけしか集まらないし、釣具以外の売れ行きはイマイチな結果しか出ません。
でも、もしもウェブ上にある全ての釣りブログの解析ができたのなら、釣り人はウェブ上で何を探し、求めているかが明確になります。
なので還元キャンペーンで一気に顧客を獲得した「LINE Pay」と「PayPay」は、消費者データを他所に提供することで収益をガッポリいくのも簡単だろうなぁと。
一方で、地域の小グループが自社サービスを立ち上げて、開発費と運用費に見合った効果は得られるのだろうかと不安にもあります。……まあ総売上から数%の手数料を引かれるわけだから、税金徴収みたいで気分が悪いんだろうなぁと思います。
キャッシュレスは選択肢のひとつであって強制はどうかと
「キャッシュレス便利じゃん。やらないのはバカなの?」──なんて意見も聞きます。日本だと現金決済でも不便はないし、強制的に切り替えるメリットも、個人事業ではほとんどありません。
私は「釣り銭を選ぶ手間が省ける」ことが最大のメリットと捉えています。店と客がどちらも釣り銭の計算が早いことが、電子決済の浸透がいまいち進まない背景でしょうね。スマホで決済できるため、利用する潜在ユーザーは端末販売台数と同じになる可能性はあるから、”スマホユーザー全員が使っている”と錯覚しているお偉いさんもいそう。
便利なら利用すればいいし、肌に合わないなら利用しなければいい。
自分が好きだから他の全員にも好きになってもらいたい! という気持ちはわからないでもないけど、それでよく論争になっていることはありますね。好みなんて人それぞれだし、思想がみんなひとつだけなら、民主な議会政治なんてこの世に概念すらないでしょうね。

ネット上の「価値観の違いによるいざこざ」を見るたび、いつもこのゆのさんが思いうかんでしまう。俺はこう思うんだけど君はそうなんだね! わかった! ……でいいじゃないか。
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