日本のBLクリエイターが今、新たに注目すべき市場として浮上しているのが中国です。
しかし、中国市場への参入にはいくつかのハードルがあります。
この記事では、日本のクリエイターが中国市場で成功するための具体的な方法と、翻訳や現地適応のコツをわかりやすく解説します。
- 現地のウェブ小説プラットフォームを活用しよう
- 翻訳の重要性:プロに頼るか、自分で学ぶか?
- 現地文化に合わせたローカライズ
- SNSを活用したプロモーション
- 現地パートナーとの連携
現地のウェブ小説プラットフォームを活用しよう
中国では、ウェブ小説プラットフォームが非常に人気です。
特にBL作品は、Qidian(起点)、Jinjiang Literature City(晋江文学城)などのサイトで多くの読者を集めています。
日本のクリエイターが自身の作品をこれらのプラットフォームに掲載することで、手軽に大勢の読者とつながることが可能です。
翻訳の重要性:プロに頼るか、自分で学ぶか?
中国市場で作品を公開するには、当然ながら中国語への翻訳が必要です。
ここでは、翻訳の方法を大きく2つに分けて紹介します。
- プロに依頼する
- 自分で翻訳する
- 生成AIで翻訳する
1.プロに依頼する
専門の翻訳者に依頼することで、質の高い翻訳を得られます。
BL作品の翻訳に慣れた翻訳者であれば、キャラクターの言葉遣いや文化的なニュアンスも適切に表現してくれるでしょう。
クラウドソーシングやココナラを活用するのも手です。
2.自分で翻訳を進める
自分で翻訳を学ぶという選択肢もあります。
オンラインの自動翻訳ツール(例えば、Google翻訳やDeepLなど)を使うのも一つの手段です。
表現や細かいニュアンスをチェックするために、現地の友人やファンと協力するのがおすすめです。
3.生成AIで翻訳をする
日本語から中国語への翻訳は、生成AIに頼るのもおすすめです。
中国語翻訳に特化した生成AI翻訳サービスは、次のものがあります。
- COTOHA Translator
ニューラル機械翻訳技術による翻訳で、日本語能力試験1級の中国人ビジネスパーソンに匹敵する精度を誇ります。ファイルのそのまま翻訳が可能で、辞書登録機能も搭載されています。 - AIVoiceSpeaker
入力した日本語テキストを中国語(繁体字・簡体字)に翻訳し、AI音声で読み上げることができます。読み上げる音声モデルは複数種類から選べ、海外ユーザー向けコンテンツのナレーション素材やニュースの読み上げなどに利用できます。 - みらい翻訳
Webサイトやメール、PDFなどの翻訳に利用できるChrome Extensionです。言語自動判定機能があり、固有名詞などの特定の訳し方も定義できます。
ChatGPTも翻訳してくれますが、無料版だと文字数制限がありますし、処理速度が遅いので、もし数万文字クラスの翻訳をするなら課金したほうがいいです。
小説クラスの文字数だと、NotebookLMが向いているかもしれません。
NotebookLMは2024年10月現在も無料で使えますし、電子書籍1冊を読み込ませて、外国語を母国語に変換してくれることもできます。
ようするに、書き上げた原稿データ(Wordなりテキストベースのデータファイル)を直接アップロードして全文読みこむため、原文(日本語)を英語だったり中国語に変換することが可能になります。
生成AIで懸念されがちな「データ流出」も、NotebookLMは入力したデータを”共有しない”と明言しているので、自分だけで使うならもっとも安全な生成AIといえます。
現地文化に合わせたローカライズ
BL作品が中国市場で受け入れられるためには、現地の文化や規制に合わせた内容調整(ローカライズ)が必要です。
中国では厳しい検閲制度があり、特定の表現が制限される場合があります。
たとえば、性的なシーンや暴力的な表現には慎重さが求められます。
しかし、これを創作の制約と捉えるのではなく、物語をより深く描くためのチャンスと考えることが重要です。
感情表現やキャラクターの成長に焦点を当てることで、より多くの読者に感動を与える作品を作り上げることができます。
中国のBL小説に対する規制内容は?
中国では、BLを含む性的表現に対する規制が非常に厳しいです。
これは、政府が「不良文化」として同性愛や性的少数者に対する表現を制限しているためです。
- 性的描写の禁止
性的なシーンや性行為の描写は厳しく禁止されています。これには、直接的な性描写だけでなく、間接的な表現も含まれます。例えば、「首以下の描写禁止」や「セックスするときは消灯」といった規制が存在します。 - キスシーンやラブシーンの制限
キスシーンやラブシーンも制限されており、これらのシーンは光や花、台詞などで隠されることが多いです。 - 暴力的な描写の禁止
性的描写だけでなく、暴力的な描写も規制の対象となります。
これらの規制に対する対応は、現地のクリエイターが先に道を示してくれています
その傾向については次の通り。
- ストーリー重視の作品作り
性的描写が制限されているため、ストーリー性を重視した作品が多くなっています。これにより、物語の深みやキャラクターの成長に焦点を当てた作品が増えています。 - 暗示的な表現の工夫
直接的な性描写を避けるために、暗示的な表現やメタファーを用いることが一般的です。これにより、読者に対して間接的に感情や関係性を伝える工夫がされています。 - デジタルプラットフォームの活用
規制が比較的緩いデジタルプラットフォームを活用して、作品を発表する作家も多いです。これにより、規制を回避しつつ、広範な読者にリーチすることが可能となっています。
日本クリエイター向けにわかりやすくいうと、R18作品をR12以下くらいに表現をマイルドにするのが、向こうでも一般的な対策方法になります。
表現の規制が厳しいのは出版社を介しての公開で、規制に対する簡単な逃げ道としては、デジタルプラットフォームの利用があげられます。
中国にもPixivFANBOXのようなクリエイター支援サイトがいくつかあります。
CtoCでのやり取りが可能なため、出版社や小説投稿サイトよりも規制が緩めとはいえ、無法すぎると運営が罰せられるから、ある程度は厳しいと見積もってください。
中国のSNSを活用したプロモーションが重要
中国のSNSは、日本とは少し異なる独自のエコシステムを持っています。
例えば、Weibo(微博)やWeChat(微信)などが主流です。
これらのプラットフォームで積極的にファンとの交流を行うことで、作品の知名度を上げ、現地のファンダムを育てることができます。
また、動画配信アプリのDouyin(抖音、TikTokの中国版)やBilibili(哔哩哔哩)も、短いプロモーション動画や作品紹介の場として効果的です。
中国のインターネットは、国外へのアクセスを厳しく制限していることもあり、日本で主流のSNS(X、Facebook)でいくら発信しても、向こうの人が見ることができません。
日本から中国へアプローチするには、中国産SNSに登録して、そこで宣伝することが大事です。
現地パートナーとの連携
中国市場におけるビジネスの拡大には、現地のパートナーと連携することが非常に効果的です。
出版社や配信プラットフォーム、翻訳サービス提供者と協力することで、スムーズな参入が可能になります。
特に、規制や文化に詳しい現地企業との提携は、ビジネス展開を効率的に進めるために重要です。
まとめ:日本語→中国語で翻訳verを作るだけでもいい
中国のBL市場は、特に20~30代の女性クリエイターにとって大きなビジネスチャンスを提供しています。
しかし、成功するためには翻訳やローカライズ、現地のSNSの活用、現地パートナーとの連携が重要です。
補足しておくと、これらは「現地で成功する方法」の話。
日本で公開しているBL小説も、中国語に翻訳してウェブ公開すれば、インターネットを介して世界中の中国語圏内のBLファン達が目に留めるはずです。
FANBOXやCi-enなど、国内クリエイター支援プラットフォームは、中国からのアクセスを遮断しているわけではないので、中国のSNSで宣伝して誘導するのもビジネスチャンスの一歩になるはずです。
これらの方法を駆使し、現地のファンにアプローチすることで、新たな読者層を開拓し、国際的なクリエイターとしての一歩を踏み出すことができるでしょう。
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