なんでJAが備蓄米の価格でキレてんのか #
すでに約30トンの備蓄米を"高い水準の価格"で落札している。
玄米だから、市場に出す前に精米してーのパッキングやりーので、発送に手間取っている中、さらに安い備蓄米が大盤振る舞いで放出される見通し。これまで落札しているJAにとっては、高価格帯で落札した米が売れにくくなる可能性がある。
はたから見れば、買い戻しのある条件で落札するのは、政府とJAで米のロンダリングみたいなもの。農相があんな失言さえしなければ、米の価格は高水準でR7の新米まで━━いや、それ以降もワンチャン続いた可能性もある。
米の価格を上げようとする行為に見て取れたけど、米農家が高値で売れる環境を作ることで、収益UPに賃金UPを図っていたのなら、称賛されていたかもしれない。
素直に「農家の儲けを増やすため」といえばよかったのに #
米を買い占めて価格を高水準で維持する理由に、「農家の儲けを増やす」とか「一次産業に光を」みたいな話があれば、消費者だって納得する。物価高に光熱費も上昇して、運用コストが年々かさんでいるのは、誰もが実感している。賃上げの一貫として主食の価格を上げるなら、まあそれもそうだよねって大半が思うはず。
でもまあ実際は、中間の卸しが保管・梱包・発送などの手配でコストがかさみまくっているのもあるし、R6の2倍でも売れるようになっているから、出し惜しみして吊り上げを狙うのも市場原理としては理解できる。
でもそこに追求することはせず、ノーコメントみたいな感じだから、余計に反感を買ってしまった。備蓄米の国庫に出し入れすることが得意なJAだったが、国内市場への販路確保がままならなかったJAは、票田が欲しかった前農相とともに倒れることになりそう。
一次産業の米農家ですら納品した後の行方を知らないほど。報道でもそこに切り込むところはなく、消費者に「米ないよね!」と聞いて回ってるくらい。そこに生産性はあるのかって話よ。
落札価格で買い戻すシステムがあきらかにクソ #
落札した量を翌年以降(5年以内)に、同じ価格で備蓄米倉庫に渡す必要があるシステムだから、R7の新米が出ても30トンは高価格の米で売られることになる。
米の価格が上がったことで、R7年度は作付けも増えて見込み収穫も増えるらしい。しかし相手は自然。今年はさらなる猛暑になる可能性だってあるし、大雨に台風がこれまで以上に来る可能性だってある。
統計分析かつ"平均"で考えると、本来市場に出てこない米が高価格でも、痛手を受けるのは政府だけ。でも政府が金を出して買い取るってことは税金だよね。あきらかにJAがもっとも有利な落札方式にしたことで、票田のためと受け取られても致し方ない。高くても税金で払いつつ、組織票をもらえる相手なら、忖度したくなるのもわからないでもない。
でも結果的に国民の反感はかったわけだから、農政の家系として報いを受けた結果かもしれない。
備蓄米を保管しているコストを考えると1キロ1000円は安すぎるか? #
玄米のまま冷暗所でなるべく鮮度を落とさず、何年も保管をする必要があるってなると、大規模な冷蔵倉庫が必要になる。
どのみち一時保管するサイロが必要だし、それらの保管施設が全国各地にあるとしても、近年の温度上昇で穀物を炎天下で何年も保管しておくのは難しい。玄米の保管は専用の冷蔵庫が売っているから、似たような状態で長期保管するとは思う。
……となれば、24時間365日エアコンをフル稼働しているようなもん。
維持するにも電気ガス水道の価格は年々上がっているし、保管コストも馬鹿にならないから、5年保管した玄米のコストは現在の米価格よりも実質高くなるのではと感じる。だから「1kg1000円は安すぎる」という意見もわからないでもない。でも政府が管理しているものだし、市場に出れば古米として価格は上げられないから、大規模生産している工場とか学校給食に卸しているとは聞く。
なので深く考えず、R6年度の米価格水準で出すとなれば、1kg1000円で市場に出すのは妥当。先に精米したクッソ高い米たちに半額シールが貼られて新米が出回るまで出して、価格をもとに戻す考えなら理解できる。この価格で出す理由を正しく説明したほうが、混乱することもないんじゃないかなと思う。
なんにせよ、6月頭は備蓄米の販売とSwitch2の販売で、世間の消費動向と転売対策の阿鼻叫喚が見どころになりそう。
随時契約に参加することでNHKも宣伝してくれる #
アイリスオーヤマにイオンとか楽天など、大資本の販売業が契約参加することで、新たに30万トンの備蓄米が6月から5kg2000円程度で販売されることになる。
備蓄米自体は1~5年ほど古い玄米なんだけど、精米するだけで白米になる。日本全国の精米所がフル稼働するだろう予想はできるし、玄米のまま販売して精米はユーザーに任せる方向性の企業もある。包装は専用パッケージを用意せず、透明ビニールにシールを貼るだけなど、スピード重視のアイデア勝負で、我が一番先にとそれぞれの大資本が本気を出している様子がうかがえる。
この随時契約に参加すると、ふだんはニュースでも社名を出さないNHKが、堂々と楽天やアイリスの社長とセクシーライス大臣の会談を撮影して、それを放送している。販売目安の日時もいっているから、わざわざチラシなりネット告知する必要もなさそうだから、広告宣伝費がいらない状態で全国規模の宣伝ができていることになる。最高にちょろいマーケティングかもしれない。
もうぜんぶ玄米で販売しちゃえばいいじゃない #
地方都市の街角にはコンビニ精米機があったりする。
住んでいる近くにもあるので、備蓄米でなくても玄米で販売してくれてもいいんだけど、さすがに都市部にコンビニ精米機は置いてないしみたこともない人もいるはず。でもせっかく"地方都市"で精米することができるから、玄米販売オンリーにしたら、都市部から地方へ人の流れが生まれて、経済をちょっと刺激するかもしれない。ふだん精米機なんていくわけないから、その道中で新しい何かに出会えたら、別の人生がスタートしちゃうかもしれない。
玄米10kgでも数分で精米するから、販売初日にどれだけ長蛇の列がコンビニ精米機に形成されたら、二度とみられない光景に出会えた瞬間になるかもしれない。
米大臣を襲うかもしれない悲劇 #
備蓄米の保管量を調べると、だいたい最低でも100万トン以上はあるらしく、正確な量は記録されていない。米価格の安定化まで出し続けるらしいが、それなら新米がとれるもっとも早い8・9月以降まで続けることになる。
んで、国民1人あたり年間で50kgの消費量目安がある。仮に1億人が全員食べる計算にするなら50億kg(500万トン)になる。
新米が出回る時期まで食いつなぐとして、だいたい3~4ヶ月欲しいので、適当に100日分を放出する計算だと137万トンくらい必要。これだと備蓄米を全て放出しても足りないレベルだから、調子にのって放出しまくると、新米までに備蓄米自体がなくなる可能性が微レ存。
ここでスピリチュアルな話。
7月に大災害が起こるっていう予言がもしあたったとして、日本が壊滅状態になったとする。備蓄米が本来の使い方をされると、全国民が3ヶ月は食いつなぐことができるわけだが、無計画な放出で災害支援に足りない!ってなったらどうするのだろうか。
もしそうなれば、「米がなければ穀物を輸入すればいいじゃない」になるはず。
とはいえ、国民の機嫌をとるために「とにかく出す」といっては、後のリスク管理に響く可能性もあるのに、そこを追求しているメディアは全然ないのが面白い。最悪な想定を考えておくことは大事なのではないだろうか。