MCPはClaudeを外部アプリケーションと接続するためのインターフェースです。この記事では、MCPの書き込み機能とObsidianの活用、さらにHugoとの連携について解説します。
MCPによる外部アプリへの書き込み #
MCPはClaudeと外部アプリケーションを双方向に接続する機能を持っています。これにより、外部アプリからデータを読み取るだけでなく、外部アプリにデータを書き込むことも可能です。Obsidianのような外部アプリとの連携では、ファイルの読み取りだけでなく、新規ファイルの作成、既存ファイルの更新、ファイルへの追記などの操作が実行できます。
CMSとの連携可能性 #
ヘッドレスCMSやその他のCMSのデータベースに直接書き込むことは技術的には可能ですが、いくつかの条件があります:
- APIの存在: 対象のCMS(ContentfulやStrapi、Sanityなど)が適切なAPIを提供していること
- 認証とアクセス権限: MCPがCMSのAPIに対して適切な認証情報と書き込み権限を持つこと
- 専用コネクターの開発: MCPと特定のCMSを接続するための専用インターフェースの開発
しかし、セキュリティの観点からは、AIがデータベースに直接アクセスするよりも、専用のアプリケーション層を介した接続方式が望ましいと言えます。
セキュアな連携アプローチ #
現状で最も安全かつ確実なアプローチは以下のようなものです:
- 独立したCMSアプリケーション/インターフェースを構築
- MCPでそのアプリケーションと接続
- そのアプリケーションが適切な認証と権限管理を行った上で
- CMSやデータベースにデータを書き込む
このアプローチには以下のメリットがあります:
- セキュリティの層分離: AIからデータベースへの直接アクセスを遮断
- アクセス制御の明確化: アプリケーション層で詳細な権限管理が可能
- 監査とログ記録: 中間層でのログ記録により操作の追跡が容易
- 入力検証とサニタイズ: 悪意あるデータの挿入を防止
ObsidianとMCPの連携 #
MCPを使用してObsidianのマークダウン(md)ファイルを直接編集することができます。具体的には以下の操作が可能です:
- 既存のmdファイルの内容を取得する
- 既存のmdファイルの内容を更新する
- 特定のセクションやヘッダーの下に内容を追加する
- 新しいmdファイルを作成する
- ファイルに内容を追記する
これらの操作は、MCPが提供する関数(get_vault_file
、update_active_file
、create_vault_file
、append_to_vault_file
、patch_vault_file
など)を使って実行できます。
ObsidianをフロントエンドとしたCMS連携 #
Obsidianをフロントエンドのインターフェースとして活用し、以下のようなワークフローを構築することが可能です:
- ObsidianでMCPを通じてClaudeが特定のマークダウンファイルを読み取り・編集
- Obsidianの中で特定のマークダウンファイルやフォーマットでコンテンツを作成・編集
- そのファイルを検知して、サーバーサイドのCMSやデータベースにアップロードするシステム
これは実質的に、Obsidianを「コンテンツ作成インターフェース」として使い、バックエンドシステムと連携させるアプローチです。
ObsidianとHugoの連携方法 #
Hugoのリポジトリと別ドライブにあるObsidianの特定フォルダを同期するには、いくつかの方法があります:
1. シンボリックリンクを使用する方法 #
Windows、macOS、Linuxすべてでシンボリックリンクを作成できます。
Windowsの場合:
mklink /D "C:\path\to\hugo\content\obsidian" "D:\path\to\obsidian\folder"
macOS/Linuxの場合:
ln -s /path/to/obsidian/folder /path/to/hugo/content/obsidian
2. 自動同期スクリプトを使用する方法 #
定期的に実行されるスクリプトを作成して、ObsidianフォルダからHugoコンテンツディレクトリに必要なファイルをコピーします。
Pythonを使った例:
import shutil
import os
from pathlib import Path
import time
source_dir = Path("D:/path/to/obsidian/folder")
destination_dir = Path("C:/path/to/hugo/content/obsidian")
def sync_folders():
# 既存のdestinationフォルダを削除して再作成する
if destination_dir.exists():
shutil.rmtree(destination_dir)
destination_dir.mkdir(exist_ok=True)
# ファイルをコピー
for file in source_dir.glob("**/*.md"):
# オプション: ファイル名に基づいてフィルタリング
# if "private" in file.name:
# continue
relative_path = file.relative_to(source_dir)
dest_file = destination_dir / relative_path
dest_file.parent.mkdir(parents=True, exist_ok=True)
shutil.copy2(file, dest_file)
print(f"同期完了: {time.strftime('%Y-%m-%d %H:%M:%S')}")
# 初回同期
sync_folders()
# オプション: 継続的な監視と同期
# while True:
# time.sleep(60) # 1分ごとに確認
# sync_folders()
3. ファイル同期ツールを使用する方法 #
- FreeFileSync: オープンソースの同期ツールで、スケジュール設定が可能
- Syncthing: リアルタイムP2P同期ツール
- rclone: コマンドラインベースの強力な同期ツール
4. Gitを使った同期 #
Obsidianフォルダをgitリポジトリとして設定し、Hugoのコンテンツディレクトリをgit submoduleとして設定する方法もあります。
5. Obsidianプラグインの活用 #
Obsidianには「Obsidian Git」のようなプラグインがあり、変更を自動的にコミットしてプッシュできます。これをGitHub Actionsなどと組み合わせて、リポジトリへの変更時にHugoサイトを自動的にビルド・デプロイする仕組みを構築できます。
まとめ #
MCPを活用することで、Claudeと外部アプリケーションを連携させ、コンテンツ作成や管理のワークフローを効率化することができます。特にObsidianをフロントエンドとして使用し、Hugoなどのサイトジェネレーターと組み合わせることで、AIを活用したコンテンツ管理システムを構築することが可能です。セキュリティを考慮しつつ、適切な連携方法を選択することが重要です。