マイナポータルより窓口でパスポート手続きしたほうが早い理由 #
マイナポータルでパスポート手続きしたら、窓口よりも時間がかかることが話題になっていた。
マイナポータルでパスポート切替申請をやったが2週間うんともすんとも連絡が来ない→電話で問い合わせたらズッコケな回答が返ってきた - Togetter [トゥギャッター]
デジタルよりアナログが早い理由は、「本当に本人なのか?の確認」があるからだろう。
マイナ担当がやっていそうなこと #
- マイナポータルからパスポート受付がくる
- 本人の確認として戸籍と照合、本人確認の連絡もして、写真に偽りがないか人力でチェック
- 本人確認を2人以上の体制で確認して、正式に登録や更新の手続きをはじめる
行政のデジタル化が完璧にできないのは、AIに任せきれないから。
担当部署にいっぱい来ている本人確認を1人ずつ、居る人員だけで失敗なく偽証も確認しつつマンパワーでなんとかしているろうし、どうしても時間がかかる背景があるんだろうと予想できる。
もしデジタルのみでやっていたら #
もしデジタルのみで乗り切るなら、国民or市民データと身分を照合して一致したらハイOKで、即日とまではいかないけど、パスポートの印字をして「翌日以降に取りきてくださいよ~」で、発行はできるかもしれない。
でもこの方法だと、本人以外でも簡単に申請できるようになるから、偽造防止が格段に難しくはなる。生体認証がない以上、本人だと確認する方法は「顔写真と本人が一致するか」「連絡先に本人が出て確認できるか」が要になる。
マイナポータルはあくまで簡易的な認証 #
マイナンバーカードを所持していて、マイナポータルで行政手続きをしたことがある人なら、ログイン認証甘くね?と思ったはず。
だって、カードとパスワードさえわかれば、誰でもログインは可能だから。
もしカードを盗んでパスワードが添えつけてあれば、その人になりすましてログインし、行政手続きが可能になる。病院の保険証システムだと顔認証もあるけど、暗証番号でも可能だから、生体認証(顔)はおまけ程度になっている。せめて指紋でもあれば……と思っても、指紋がない人だっているし、網膜・虹彩認証だって専用機器を各家庭に置くのは、誰もしたがらないと思う。
唯一救いがあるとするなら、マイナンバーだけで金を借りるのはけっこう難しいことかもしれない。
もし本人確認作業をAIが代行したら #
パスポート申請も窓口なら、本人がそこにいるわけだし、写真とその場で照合することができる。だから早い。
デジタルの認証で厄介なのは、データで提出される以上、様式を真似されればそれで通ってしまうこと。マイナンバーカードはICチップと”厚み”で判断しているタイプがあるけど、ICチップも製造されてデータを入力する機械がある以上、真似できないことはない。
もしデジタル上で窓口申請と同じ手続き速度を実現するなら、AIに「本人確認」を処理してもらう方法しかない。
現状の技術でも不可能じゃないし、デジタルファーストな国にしたいならそうするべきだろう。でも実現しないのは、人が「これば違う」と判断したものを、AIが「通ってよし!」と判断するリスクがゼロじゃないから。顔認証に虹彩認証もスパイ映画よろしく、本人情報を知っていれば特殊メイクでなんとでもなってしまう。窓口だって”そっくりさん”が来たら通す可能性もあるし、正確性はどちらも似たようなものに落ち着くかもしれない。
ただ早さだけを追求するなら、必要項目を書類からOCRで抜いて、入力フォームにコピーして決定するだけで済む。デジタルなら住基データと入力フォームの内容を照合して、一致したらそこでパスポートのDBに追加・書き換えするだけで済む、はず。
なんだかんだで「本人」が重要 #
長らくネットは匿名での登録が当たり前だった。企業だったり行政のネットサービスがきてから、実名登録と認証方法が来たので、マインナンバーカードができた2016年から開始されたようなもの。まだ10年程度か……。
確定申告をネットからするため、真っ先に作成して利用したけど、認証方法は当初から「これでええんやろか」な状態だった。
まあこれ以上複雑化しても意味はないというか、めんどくさいの手前なギリギリの塩梅といえる。むしろ初期はIEだけ使えるとかGmail拒否とか、Googleさんがまだ信頼されてない頃だったのが懐かしい。それが今はスマホのICリーダーからできるから、便利になったと思う(手間だけなら)。
行政と金融サービスでもっとも厄介なのは「本当に本人なのか問題」。
デジタルの世界で人間を正確に認知するには、誰1人として被らない何かが欲しいわけで、もっとも近いのが遺伝子なんだけど、それをどうやって認証するのさって話になる。いずれ誕生したらICチップを埋め込む━━ではなく、DNAを取って国民データに入れるってのが主流にはなる可能性はありそうだなと。
でもDNAですら、解析して改変可能にはなるんだから、個人を証明するのはよくよく考えると、難しい問題だなと改めて思った。子どもがスマホを買うのに親権者が必要なように、大人でも第三者からの証明が欲しくなる時代もあるかもなって。