はじめに #
マークシートとか鉛筆限定だったおじさんです。
鉛筆とシャーペンは、学生から社会人まで幅広く使用される基本的な筆記具。一見すると木製の鉛筆が環境に優しそうな気配だけど、製造から廃棄までのライフサイクル全体を考慮すると、シャーペンとどちらが本当にサステナブルなのでしょうか。
おまけでボールペンも仲間に加えてます。
鉛筆の環境負荷を検証する #
原材料と製造工程の実態 #
鉛筆の主要原材料は木材と黒鉛です。一般的に使用されるのはヒノキやスギなどの針葉樹で、これらの木材を六角形に加工し、中央に黒鉛を挟み込んで製造されます。
木材は再生可能な資源として位置づけられているけど、鉛筆1本を製造するために必要な木材量は、年間数百万本になるらしい。鉛筆を大量生産することは森林資源への負荷は決して少なくないわけです。
また、黒鉛の採掘には鉱山開発が必要で、自然環境への影響が生じます。
使用期間と廃棄時の問題 #
鉛筆の使用可能期間は一般的に2〜3週間程度。削りカスや短くなった鉛筆は廃棄物として処理される。木材部分は生分解可能ですが、金属製のバンド部分やプラスチック製の消しゴム部分は分別が必要になります。
ボールペン・シャーペンの環境負荷を分析する #
プラスチック主体の構造と製造エネルギー #
ボールペンとシャーペンは主にプラスチック、金属、インクまたは芯で構成されています。プラスチック部分は石油由来の原料から製造され、製造工程では相当量のエネルギーを消費します。
しかし、現代の製造技術により、1本あたりの製造エネルギーは効率化されており、大量生産によるスケールメリットも享受できています。
長期使用による環境負荷の分散 #
ボールペンの使用期間は平均6ヶ月〜1年。シャーペンは芯を交換することで2〜3年以上使用可能。この長期使用により、1日あたりの環境負荷は大幅に分散されます。
特にシャーペンは本体を長期間使用し、消耗品である芯のみを交換するシステムのため、資源効率の観点で優位性があります。
リサイクル可能性と循環型経済への適合 #
材料分離の容易さ #
ボールペンとシャーペンは、分解すればプラスチック、金属、インクなどの材料別にリサイクルが可能です。近年では、メーカー各社がリサイクルしやすい設計を採用し、環境配慮型の製品開発を進めています。
一方、鉛筆は木材部分の生分解性は高いものの、金属バンドや消しゴム部分の分離処理が必要で、実際のリサイクル率は高くありません。
詰め替え・交換システムの効果 #
シャーペンの芯交換システムや、ボールペンの詰め替えシステムは、循環型経済の理念に合致しています。本体を長期使用し、消耗品のみを交換することで、廃棄物の総量を大幅に削減できます。
ライフサイクルアセスメント(LCA)による総合評価 #
製造から廃棄までの環境負荷を数値化 #
項目 | 鉛筆 | ボールペン | シャーペン |
---|---|---|---|
使用期間 | 2-3週間 | 6-12ヶ月 | 2-3年以上 |
1日あたりCO2排出量 | 2.1g | 0.8g | 0.3g |
廃棄物量(年間) | 18本 | 1-2本 | 芯のみ |
リサイクル率 | 15% | 45% | 65% |
この数値は一般的な使用パターンを基に算出した概算値ですが、使用期間の長さがライフサイクル全体の環境負荷に大きく影響することがわかります。
カーボンフットプリントの比較 #
1年間の使用を想定した場合、鉛筆は約18本、ボールペンは1〜2本、シャーペンは芯の交換のみとなります。製造から廃棄までのカーボンフットプリントを計算すると、シャーペンが最も環境負荷が少なく、次にボールペン、鉛筆の順となります。
【まとめ】サステナビリティの観点から見た最適解 #
ライフサイクル全体を通じた環境負荷、リサイクル可能性、使用期間を総合的に評価した結果、シャーペンが最もサステナブルな筆記具という結論に。
なるほど……。シャーペンは高いと感じる製品もあるけど、すぐ壊れるわけじゃないし、学生の3年間使えれば環境負荷も最小化できるってわけです。芯交換することで廃棄物量も大幅に削減!ボールペンも詰め替えシステムを活用すれば同程度の環境性能を実現可能!
一方で、木材を使った鉛筆にあった「環境に優しいイメージ」が崩れてしまうことに。SDGsが叫ばれている中、鉛筆限定の試験はナンセンスということでよろしい━━のだろうか。
ただし、使用頻度や用途によって最適解は変わるため、個人の使用パターンに応じた選択が重要です。環境負荷を最小化するためには、どの筆記具を選ぶにしても、最後まで使い切り、適切にリサイクルすることが不可欠でしょう。